頸椎疾患にはいくつか種類があり、それぞれ症状も違います。ほとんどの疾患は神経根が影響しており、神経が圧迫されることで痛みや痺れが起きます。
放置すれば手術が必要になるほど重くなるため、早急な対処が求められるのです。今回は、頸椎の疾患について解説していきますので、首の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてください。
1. 頸椎の疾患の種類は?
頸椎症は、7つの骨で形成される頸椎が、加齢や変形によって痛みが出る症状を指します。頸椎の痛み以外にも、神経根や脊髄が圧迫されることで痺れなどの症状が出ることも少なくありません。ここからは、頸椎に関する主な疾患について解説していきます。
1-1. 頸椎症性神経根症
頸椎症性神経根症は、頸椎の変性によって椎間孔の狭窄が生じ、神経根が圧迫される症状です。腕や手先などに痺れや痛みが出るのが特徴で、どの神経根が圧迫されているかで病名も違います。
また、頸髄自体の圧迫は「頸椎症性脊髄症」と診断され、神経根の圧迫は「頸椎症性神経根症」となります。どちらも椎間板ヘルニアと同じように、頸椎の疾患の1つとして多くの人に認知されている症状だといえるでしょう。
1-2. 頸椎椎間板ヘルニア
人の神経には大きく分けて運動神経と知覚神経があります。2つの神経は普段は脊柱管に保護されており、これらは脊髄の神経が枝分かれした神経根に影響をおよぼすのです。
7種類ある頸椎はそれぞれ第一頸椎、第二頸椎、第三頸椎という形で分かれますが、それぞれに椎間板が存在します。この椎間板が壊れると脊髄や神経根が圧迫され、ヘルニアとなります。
1-3. 後縦靱帯骨化症
後縦靱帯骨化症は、頸椎と脊髄の間にある後縦靱帯が骨に置き換わる病気です。後縦靱帯は本来それほど厚みがありませんが、症状が出ると骨のように分厚く変形します。
厚みが出ることで神経の通り道が狭くなってしまい、頸髄や神経根が圧迫されます。後縦靱帯骨化症が悪化すると、足にまでその症状が出るようになってしまうのです。
1-4. 頸椎症性脊髄症とは
頸椎症性脊髄症は、各頸椎間にある椎間板が加齢にともない変形する病気です。変形は徐々に起こり、神経根や脊髄の圧迫を招きます。脊柱管にある脊髄が圧迫されることで、両方の手足に痛みや痺れが発生し、運動機能に障害が出ることもあります。
2. それぞれの症状と特徴
頸椎症にはいくつかの種類があり、それぞれに症状と特徴があります。これらは似ているものも多いので、ここからは各種症状の特徴について解説していきます。
2-1. 頸椎症性神経根症の症状
頸椎症性神経根症の場合、手先に痛みや痺れが出て首の動きが悪くなるのが主な症状です。症状が重くなると、強い痛みや痺れに加えて感覚の麻痺が起こります。特に首を上に向ける動作に強い痛みが生じるので、上半身が自由に動かないと症状を訴える方も少なくありません。
2-2. 頸椎椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニアは「片側の手や首に激しい痛みが走るタイプ」と、「両手に痺れが起きるタイプ」の2種類に分けられます。特に激しい痛みを感じる場合は、寝違いに近い鈍痛や違和感が見られます。
鋭い痛みが2~3週間ほどでピークに達し、その後は鈍痛や痺れが残るのが特徴です。どちらにしても生活に支障が出るため、早めの対応が必要です。
2-3. 後縦靱帯骨化症の症状
後縦靱帯骨化症は、骨化により神経が圧迫されて感覚障害や運動障害が起こります。重度になると日常生活にも不具合が起き、介護が必要になるケースも少なくありません。
骨の部位によって名前が変わり、それぞれ「頸椎後縦靱帯骨化症」「胸椎後縦靱帯骨化症」「腰椎後縦靱帯骨化症」に分かれます。特に中年男性がかかりやすい病気といわれているので、心配な方は一度診断を受けてみましょう。
2-4. 頸椎症性脊髄症の症状
頸椎症性脊髄症は、頚部の痛みや手足の痺れ、手や足の知覚障害、歩行障害や膀胱直腸障害などが起こる病気です。重度になると足を前に出せなくなります。箸を持つことも難しくなってしまうため、早めの治療が肝心です。
3. 頸椎の疾患の治療法
頸椎の疾患の治療法には、大きく分けて保存療法と手術療法があります。さらに保存療法は急性期と急性期の後でも治療法が違います。特に動かさなくても痛みが走るのが急性期の特徴なので、手術になる前に早めの受診が必要です。
3-1. 急性期の場合
急性期は、少しの動作で痛みが起こってしまいます。主な治療法は以下のようになります。
- 頸椎カラーで固定する
- 内服薬の服用
- 点滴やブロック注射
- 電気による治療
- 症状が治まる環境を作る
電気治療は資格を持ったプロにお願いするのが一般的で、主に理学療法士が診断します。
3-2. 急性期後の対処法
急性期を過ぎた後は、頸椎に異常が出にくい姿勢を取る、頸椎に無理がかからないストレッチや筋トレを行うといった対応が必要になります。一人では難しいので、こちらも理学療法士やトレーナーの手助けが必要です。
3-3. 手術が必要な場合も
保存療法をしても効果がない場合や症状が重症化している場合は、手術療法が取られます。例えば椎間板ヘルニアの場合は「頸椎前方到達法」が使われ、全身麻酔による手術が行われます。
脊髄の圧迫を除去後、腰骨から骨を採取し、それを頸椎部分に移植する手術が一般的です。症状の重さにもよりますが、手術時間は2~3時間程度です。
4. こんな症状には要注意
頸椎症ではいきなり手術という可能性は低いのですが、「膀胱直腸障害」や「運動神経の麻痺」が起きた場合は緊急手術が必要になります。排尿や排便のコントロールが効かないと、腎臓にも影響が出てしまうようになります。なお、日常生活に戻るには長期間によるリハビリが必要になり、担当の先生と協力しながら進めていく必要があるでしょう。
5. まとめ
今回は頸椎症の種類や症状について解説しました。どの病気も放置すると大事な神経を圧迫してしまい、日常生活に支障が出ます。症状に思い当たる方は、手術療法までいかないうちに早めに相談するようにしましょう。
痛みの原因がわからない場合は、一度「ファミリーカイロプラクティック院」にご相談ください。首コリをはじめ、頸椎に関する各種症状を改善させる施術を提供しております。自宅できるストレッチなどについてもアドバイスいたしますので、お困りの方は一度お越しください。